国際教育総合文化研究所「研究員」の公募にあたって
[2013/07/01]
補足資料 「寺島メソッド」讃歌



国際教育総合文化研究所


JAASET(日本応用記号論研究会、略称「記号研」)を、2013年7月31日をもって発展的に解消し、国際教育総合文化研究所を発足させることにしました。 以下は記号研「掲示版」で発表した「研究員」についての案内です。


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 毎日新聞社会部インタビューの後始末で追われていた毎日も終わり、やっと平常時に戻りつつあります。
 それでも家内の母が国立病院に入院したままなので、家内も一週間の半分は金沢で過ごす日々が続いていて、私も家内もなかなか疲れがとれません。
 そんなわけで懸案になっていた国際教育総合文化研究所の研究員についても、宙ぶらりんになったままで、私の心も落ち着きません。しかし他方で既に研究員のお金を振り込んでいただいたかたもみえますので、このままではいけないと今パソコンに向かっているところです。


 私も70歳を目の前にしていますし、1986年に私が岐阜大学赴任と同時に起ち上げた記号研の会員も、その中心メンバーとして活躍された方の多くが定年退職されたり、定年を迎えつつあります。
 他方、私が記号研で提案した「英文法」と「英音法」の実践と理論も、ほぼ完成に近づき、この方式でやれば「英語で授業」などと騒がずとも、生徒が主体的に授業に参加し、確実に英語力も伸びていくことが実証されたのではないかと思っています。
 また「寺島メソッドで教材づくりをし寺島メソッドで生徒を指導したおかげで、英語教師として自信をもって教壇に立つことができた」という声も、多くの先生方からいただきました。そこで私も定年退職したことを契機に、新しい活動を始めるべきではないかと思うようになりました。
 というのはせっかく寺島メソッドで英語力をつけた教師が、その英語力を学校や塾だけで終わらせるのでは、中野好夫の言う「英語バカ」のまま終わってしまうことになって、あまりに勿体ないと思うようになったのです。「英語読みのアメリカ知らず」を大量生産しても仕方がないとも思うのです。


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 私が大学院で現職教員を指導した経験では、せっかく「寺島メソッド」で英語力を伸ばしても、日本語を読む力や書く力が貧弱では、「英語力の上限」や「思考力の上限」も、その「日本語力の上限」を超えることができず、頭打ちになります。
 これは『衝突を超えて』(日本評論社)や『チョムスキーの教育論』(明石書店)などの下訳を記号研の皆さんに分担してもらったときにも痛感させられたことでした。
 これでは混迷する現代を切り拓く力は、いつまでたっても生まれてきません。私が「国際教育総合文化研究所」をつくろうと思った理由の一つがここにあります。
 とりわけ会員のひとりから、「私も岐阜大学の近くに住んでいたら寺島先生のもとで大学院の指導を受けたかった」ということばを何度もいただいていたので、そのことも「研究所を起ち上げて、希望者に大学院レベルの訓練をしてもらう機会をつくりたい」という大きな動機になりました。
 これまでは年に一回、記号研の全国的な集会を開き、実践報告をしてもらうという活動を続けてきたのですが、やはり年一回程度の実践報告をしてもらうだけではどうしても限界があり、個人的かつ集中的に指導する機会をつくらないと思ったほどの成果は得られないのではないかという強い反省が私にはあります。
 そんなことも、私が研究所をつくりたいと考えるようになったもうひとつの動機でした。

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 しかし、今の私には記号研と研究所の二つを同時に運営する気力・体力がありません。またベテラン会員の宮城県講演を機会に、現地のようすを現地会員からいろいろ伺うことができ、記号研会員でなくても私たちの本を読んで寺島メソッドを実践されている先生が意外に多いことを知りました。
 会員でなくても書籍だけで実践している先生方が意外に多いことは、ネット検索でそのような記事が出てきて驚かされることからも分かりましたが、そのことを改めて実感させられたのが今回の宮城県におけるベテラン会員の講演でした。
 (この講演を契機に、結局、その現地会員は「リズムよみのワークショップ」を地元の英語教師を対象にして3回も開くことになったそうです。)

 要するに私がここで言いたかったことは、記号研「寺島メソッド」の大要は既刊の書籍で十分に勉強できるので、研究会としての活動はあまり必要なくなっているのではないかということです。もし必要だとすれば、書籍では十分に学べない音声指導をワークショップのかたちで指導することくらいでしょう。
 以前にも「リズムよみのワークショップ」があれば参加したいという声は、東京で「英語発音スクール」を経営されている方から記号研入会の申込みがあったときから、届いていたので、そのことも研究所を設立したいというもう一つの動機になっています。
 そのときは「寺島メソッドを企業経営に利用するための入会はご遠慮ください」と丁重にお断りしたのですが、そのときも下記のような有り難い返事 [詳しくは資料1] をいただいていました。そのことも、ずっと私の心に引っ掛かって今に至っていました。

<・・・・。弁護士に相談したところ、先生のおっしゃるとおりですので、入会の件は白紙に戻してください。先生の貴重なお時間を申し訳ございませんでした。入会費5,000円は、そのまま納めさせてください。入会は辞退いたしますが、民間人でも先生の授業を受けることができる機会があれば、是非参加させてください。よろしくお願いいたします。
いつの日かお会いできるのを楽しみにしております。色々とありがとうございました。先生とのお電話とても楽しかったです。>

 同じような趣旨で、民間の英会話教室で講師をされている方からも入会申し込みがありましたが(断腸の思いで)お断りさせていただきました。[資料2]



 私が記号研と研究所の二つを同時に運営する気力・体力がなくなったもう一つの理由は、心臓病の手術をしたあとの経過があまり良くなく未だに非常に疲れやすいことがあります。しかしそれだけでなく、ブログ「百々峰だより」を書き始めたことも、大きく関わっています。
*ブログ「百々峰だより」
http://pub.ne.jp/tacktaka/
 私の気力・体力からすると、十日に一度くらいしか書けないのですが、それでも最近は毎日100人以上のアクセスがあります。多いときには200人を超えることもあります(現在のアクセス数合計は8万件を超えました)。
 なぜブログを始めたかというと、チョムスキーが講演をするたびに「話はよく分かりました。しかし社会を変革するためには何をすればよいのですか」と言う質問が投げかけられ、それにたいして「次の三つをやっていただくだけでよいのです」と答えていたからです。
(1)知ること
(2)知ったことを家族や友人に知らせること
(3)知ったことを、ささやかでもよいから、何か形(かたち)にすること
 私にとって、この(3)に当たるのが、Russia Today、Global Researchなどを読んで、知ったことを翻訳して研究室HPで発表したり、それをブログで発信することでした。
 また日本というEFL(English as Foreign Language)の環境で、英語を話す機会がなくてもそれが役立っていると実感できる唯一の場がブログなのです。
 つまり私にとってブログを書くことは、政府の「英語は話せないと意味がない」という政策、あるいは文科省の言う「英語で授業」という方針にたいする私なりの反証を実践しているつもりなのです。
 このブログにたいする反響も、先述のとおり、徐々に高まってきていますので、それなりに効果があったと思っていますし、翻訳にたいする反響も『アジア記者クラブ通信』から転載の申し入れがあったり、読者から直接メールが届いたりしています。[資料3]
 (ただし連れ合いからは「あなたはブログの奴隷になりつつある」と言われていますので、ブログにたいする姿勢を再考する必要があるかもしれません。)

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 ですから、私も退職し多くの先輩教師も退職された現在、記号研は次の段階に向かって飛躍すべき時ではないかと思っているのです。
 私のもとで(あるいは他の大学で)大学院の指導を受けたひとも、これから大学院レベルの指導を受けたいと思っているひとも、「特別研究員」としていっそう力量を磨き、その力を社会変革の道具として使ってほしいのです。
 言いかえれば、「英語バカ」のままでいてほしくないのです。「英語読みのアメリカ知らず」のままであってはならないと思うのです。
 それが研究所設立のさらに大きな目的でした。このような趣旨に御賛同いただける方は、ぜひ「特別研究員」として申し込んでください。
 (また、「特別研究員」になって研究したり論文やレポートを書くのは、時間がないので無理だけれども、趣旨には賛成だというひとは、研究所の「一般研究員」として 登録し、ML「研究仲間」を通じて自由に他の研究員・準研究員の皆さん自由に意見交換をしていただけると有り難いと思います。)

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「特別研究員」の定員5名についてですが、私が大学院で院生を指導してきた経験からすると、これが体力の限界です。


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 以上のように、記号研は発展的に「国際教育総合文化研究所」に移行する予定なのですが、現場の先生方で「自分の実践報告やレポートを発表して交流する場がほしい」という声が聞こえてきます。
 また、会員登録をしていない先生からも「ネットで調べても記号研の活動が見えなくなった」というメールをいただきました。
 記号研の活動が見えなくなったのは,ある事件がきっかけで記号研「掲示版」を会員専用の非公開にしたためですが、上記のような声から、会員になっていない先生方でも「寺島メソッド」に注目しその活動を追いかけている方がみえることを知りました。
 そこで、当時「「記号研」Newsletter編集長だった会員にお願いして下記のようなホームページをつくっていだきました。
* 英語教授法「寺島メソッド」同好会
http://kigouken.jimdo.com/
 このHPは公開されてから日も浅いのに、日々アクセス数が増えています。2010年6月26日現在で早くも300人を超えています。皆さんで活用していただければ幸いです。

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